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新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

第3部へ続く・・・

この日記は撮影時の香盤表を元に

薄れゆく記憶が消えないうちに

思い出しながら書き上げたものです。

一部、実際と違う部分や記憶違いなどが

ある場合もあります

日本の自転車泥棒 JAN」 第2部撮影日記

始めに、何故、第2部か?

それは昨年末の異常に全国で大雪が降ったあの時期

この映画の第1部撮影は始まっていたからである。

しかし、僕はその大雪の第1部に参加していないため

あえて区別するために今回の撮影を第2部とした。

1月24日(火)8:30 渋谷

那須高原に向かう。

制作部からの報告では

ここも21日に降った大雪の影響があり

現場は一面銀世界であるということだ。

だが、そんなことは分かった上での出発。

一面銀世界だからと行って

撮影を中止にはしない。

前後のつながり上でも

なんとかなると思われたし。

バスから眺める景色は

いきなり雪景色に変わった。

まさに一山越えたら雪・雪・雪である。

気温だって東京のそれとは大きく違い

明らかに寒い。

この時期にこの場所に来る人は

いないのであろうか

周りの雪はまだ踏み荒らされていない状態だった。

現場到着後すぐにメインスタッフで

撮影現場に急行する。

仮設の電話ボックスを設置しないとならないのと

雪の状況を見るためだ。

「真っ白ですね・・・」

車道はまだ雪が少ない状態であったが

歩道に至っては完璧に残った状態であり

歩行するにも足が雪の中に埋もれてしまう。

雪は雨とは利点も欠点も大きく違う。

雨なら21日の降っても全く関係が無いが

雪はこうして金魚のフンのように後を引く。

雪なら当日降ってもびしょびしょに濡れる心配は少ないが

雨は撮影中断や中止にまで追い込まれる。

雨はビタビタと音を出すが雪は出さない・・・

で、一番面倒なのが足跡だ。

助監督は基本的にスタンドインといって

俳優部が来る前に仮にカメラ前に立ち

アングルを決める手伝いをするのだが

その俳優部の立ち位置が雪で

その歩く方向も雪で

尚且つ、まだ踏み荒らされていない場所で・・・

スタンドインしたら踏み荒らしてしまう訳で・・・

しかし、スタンドインは必要で・・・

とどのつまりは、足跡を消すという作業が必要なのだ。

「雪!雪用意しといて!」

「え?」

「ガンガンとかでいいから大量に!」

「えーと」

「足跡消すんだよ!」

「あ!」

これが足元のヨリとかだったら

そうそう簡単にはいかないのだが

幸いにもヒキのカットなので

細心の注意を払わなくともなんとかなる。

サード岩崎が照明部のライトにつけるアミアミを借り

雪をふるいにかけるようにして足跡を消している。

実に大変な作業。

大体が寒い。

足元まで雪があるので

ガンガンに冷えてくるし

足跡消しなどで手を使うので

手袋もビショビショ。

更に・・・

「○○さん呼んで!」

「え?まだ?」

「何か問題?」

「そば屋の出前じゃないんだから!

 本当に出た時だけ出たって言って!」

今日の撮影には18日に続いての

大型ゲスト出演者が登場するのだ。

様々な要因から支度のタイミングと

こちらのタイミングとにずれが生じてしまったのだ。

通常なら、このズレは事前に僕が察知して

前後策を練るのだが・・・

言い訳をするようだが

今回助監督は二人しかいない状態であり

その二人は現場から全く抜けることができない。

三人体制で望んでいれば

セカンドかチーフの俺が

少しくらい離れた場所での支度も

確認することができたのだ。

うーん、本当に言い訳だ。

今までうまく行っていたのだから

それを理由にしてはいけないな。

次の目標にしよう。

てな訳だが、撮影は続く。

寒い中を薄着で俳優部さんたちは演じている。

カットの度に暖めた車に戻っていただくが

切羽詰ってくると

俳優部もそれを感じて

車に戻らずに『どんどんやろう!』と言ってくれる。

すごい嬉しいことだ。

こう一丸となって撮影しているというか・・・

が、しかし、無常にも太陽は沈む。

夕方までに移動して撮影したかったのだが

この現場の段階で夕方を迎えてしまい

移動してのデイシーンは・・・断念せざるを得ない。

「長谷君・・・今日の段取りはおそまつでしたね」

「・・・はい、すいません」

移動するロケバスの中。

今回の撮影中で始めて高橋監督に注意を受けた・・・

それくらい今日の俺は駄目だったってことだ。

確かに思い当たるフシはあるし

今後の課題として次に当たるしかない。

次はこうはしませんと言うしかない。

でも、次の仕切りを見せることはできなかった・・・

移動して駐車場での撮影中。

明日の撮影場所の情報が入った。

「全面雪。カメラをどこに向けても真っ白な状態・・・」

次の仕切りとはつまりは明日の最終日の現場。

その現場は今日の現場よりも更に山の中。

雪かきをするという選択肢も無くはなかったが

土台無理がある。

一部分を雪かきしてもヒキ絵は全く撮影できない。

それでも撮影するべきか?

つながり上、明日の撮影では

雪はあってはならない。

前にも書いたが『逆つながり』があり

明日のシーンの後にくるのは

同日設定で雪の無い場所なのだ。

雨の際によくやるが

現場に行って待機してから撮影とかも

雪の場合は解けるのを待つって・・・

それもはっきり言って得策とは言えないだろう。

駐車場での撮影準備中

ある決断がされた。

『明日の撮影は中止。期間を空けて撮影再開』

制作サイドと監督にとっては苦渋の決断だ。

明日の撮影の段取りは整っているのにも関わらず

明日の天気は快晴だと分かっているのにも関わらず

3日も前に降った雪のために・・・中断なんて。

雪で助かった部分もあるにはあったが

雪のせいで大変な目にあった。

映画『日本の自転車泥棒 JAN』

第2部撮影日記は

今日の日記で終了となる。

まだ、撮影は終了していない。

第3部へと続くのだ。

俺は駐車場での最終カットを取り終えた際に

こう叫んだ。

日本の自転車泥棒 JAN 第2部撮影終了しました!

 皆さんお疲れさまでした!第3部もよろしくお願いします!」

寒さで口がうまく回らなかったが

敢えて第2部を強調して叫んだ。

まだ、続くのだ。

自転車は走り続けるのだ。

本日撮影したシーン

75 76 76B 77 77A 77B 114 57 57A

残シーン

58