新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

スピードアップ!!

2005年11月4日
全5エピソードの中で
一番短い作品となるのが今回だ。
これは様々な用件が重なり合った結果である。
現在の撮影スピードを踏まえれば
もう少し長い台本でも対応できたと思うが
準備の段階でこのスピードは予想できなかった。

しかし、台本を短くして欲しいとオーダーしたのは僕だ

この判断が間違っていたとは思わない。
多分恐らく正解だったはずだ。

僕は電車の中で台本を読み返しながら
今日の撮影を考えた…

短いかくしたとはいえ
今日の時間制限はかなりのプレッシャーだ。

8:00
出演者は朝一番の新幹線で東京に入る。
そこから判断すると
つまり撮影できるのは11時か12時…
着替えやヘアメイクを加味するとそんな時間になるだろう。

僕等はその午前中に実景を撮影しようと会社に集まった。
実景班といって撮影部と演出部のみでの移動だ。

照明部や美術部は先に現場に行って準備している。
都合良く鳴る携帯電話のH君は先に現場に行かせた、
安易というか何の疑問も無く…

それが間違い、
いや、失敗だなんて思いもしなかったけど…

子きつねヘレンと愉快な仲間たち
The ShortMovie 撮影日記(6)

西川きよし・ヘレン』主演
『金持ち熟年夫婦の悲劇』

最後のエピソードを飾る出演者は…
『西川夫妻』である。
恐らく誰も知らない方はいないだろう。

今日はこのお二方で撮影を進めて行く。
ただ、例によって時間が無い。
東京初大阪行きの最終までに終わらせないとならないだ。
約7時間ほどが勝負の時間。

10:30
実景を撮り終え現場であるスタジオに到着。
すると電話しながらのH君が寄ってきた。
西川夫妻が入ったかどうか聞きたかったが電話中だ。
話しはスタジオ外観を撮影してからにしよう。

「お二方とも入ってます。ヘアメイク進めてます」
「わかった。現場は?OK?」
「いえ、それがあの、あ!(着信)」

どうやら自分が都合悪いときでも鳴るようにしたらしい。
益々便利な電話だと思う。
そんな便利な電話の持ち主は置いておいて
スタジオ室内に入る。
もう、すでに準備は始まっているから
ほとんど終わっているか
微調整のの段階だろうと思っていた・・・
それが大きな間違いだっというべきか。

このShortFilmは全体を通して
動物が出演するのがテーマでもある。
この『西川夫妻』のお話にも動物が出演する。
なんの動物かは本編をご覧くださいと言っておくが
その動物のスタンバイが全くできていなかったのである。
焦ったというよりも、呆れてものが言えない。

「どーなってんだよH君!話が違うじゃないか!」
「す、すいません」
「どうして、何時間も早く準備していたのに
全くどうにもこうにもなってない状況なんだよ!説明しろ!」

と言ったそばから電話が鳴り
H君は消える。

ほー、そうきましたか。
カメラマンも準備の遅さに切れ掛かっているというか
すでに切れていて、吼えまくっている。

「西川夫妻、後30分ほどでメイク終了です」

有り得ない。
全然時間が無いお二人なのに
支度ができてから待たせるなんて!
絶対にあってはならんことだ。
そのために先発後発を作ったのだから。

「H君!どこをどーしたら、早くなるんだ!答えたまえ!」
「え、いや、あの、その・・・」
「もういい」

どうせ、もう一言言えば電話が鳴るんだ。
これ以上言うまい。

すでに美術部がありあわせの物で
その場を凌ごうと躍起になっている。
細かく言うと絶対的に必要なある物が無いのだ。
美術部が東急ハンズに飛び
買いに行っているという情報が入る。
間に合うのか?

刻一刻とその時は迫っている。

僕とひしにはどうすることもできない。
ただひたすら待つことと祈ること。
そして、段取りを作ること。
逐一美術がその”物”の現在地を教えてくれる。
後10分から15分。
メイク終了までも後10分から15分。
ギリギリかそうでないか
全く予想もつかない。

カメラマンはいよいよ激昂し
予定していたジュラシックドリーを止めた。
理由は『うるさい』から。

「タイヤがキュッキュッ鳴るんだよな、うるせー」

先日、あんなにジュラシックドリーは
すげーと言っていたのに・・・

「使ったことないけど、アレはすげー」

屁のツッパリはいらんですよ見たいなすげー自信だった。
そんなこんなで、割りと現場はバタバタしていた。
もうすぐ支度が終わるというのに。

それから15分経ったがヘアメイクは完了せず
後残り10分に延長された。
どの道、開始時間の予定は昼頃だったから
それでも充分に早いペースである。

で、あとは”物”の到着を・・・

「来た!」

美術の親方が飛んでいく。

「どうして組み立てながら来なかった!」

と、バリバリに怒っているが
まあ、なんとか間に合いそうだ。
これで一安心というべきか?

× × × × ×

撮影はこの上なく順調で
予定よりも3時間早くスタジオ二階の撮影に。
今日はこのスタジオをフル活用して
効率よく撮影する狙いだ。
そうでないと、お二人を大阪に帰すことができない。
ある意味、出演者のてっぱりは・・・

※”てっぱり”というのは
その出演者が現場に参加できる時間のことで
○時入り、○時出しという風に言われる。
TVでよく使われた『ケツカッチン』と似た意味だ。
ちなにみ『ケツカッチン』とは『尻ボールド』とも言い
最初にカチンコを入れられない場合に
カットの最後に入れることを言う。

ある意味、出演者のてっぱりは
絶対に守らないとならない。
決して楽観視はできないが
お二人の息の合った芝居なら
大丈夫だろう。
絶対に時間内に終わる!

16時00分。
無事に終了。
お二人に4時間ほどプレゼントできた形だ。
やったね俺。

で、この日をもって全てのパートの撮影が終わった。
2週間の期間の中で6日間の撮影だった。
毎回楽しく撮影できたと思し
その感じが映っているはずだとも思う。
後は、各監督たちが”編集”という肯定を経て
バラバラのカットをシーンに紡ぎ出し
シーンをつなぎ、映画として完成させてくれる。

今から非常に楽しみである。

ただ、思うのは僕が参加できなかった1本が
一番面白かったってのは少し嫌。
つーか、絶対に嫌だ。

2006年3月公開の映画
『子きつねヘレン』

の、ShortFilm。

『子ぎつねヘレンと愉快な仲間たち(仮)』を
どうぞお楽しみに!
メイキング映像には僕の姿が映っている可能性大!
僕を見るだけでも一見の価値あり!

ご期待ください!