新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

夕闇に叫ぶ

5月9日
耳障りな携帯電話の目覚まし音は
きっかり13時に鳴るように設定されていた・・・

静岡の寂れたビジネスホテル。

ベット一つがやっと入る広さの室内に
電子音が響く。

昨日の撮影はいくつかのカットを
オミットしたにも関わらず2時過ぎまでかかった。
ホテルに到着してベットに横になったのが4時過ぎで
恐らく眠りについたのは5時頃だったと記憶している。
幸い、調べていた日の出前には終わったのだが
予想より遥かなオーバータイム。
朝からの作業と長すぎる移動時間
そして、深夜作業とやってみないとわからないスポーツ物。
様々な要因から、俺が考えていたよりも時間がかかった。
結果、2時間オーバー。
メインスタッフはまだしも、制作部や照明部助手さんには
酷く辛い香盤になってしまった。
誠に申し訳ない。

13:30
申し訳ないと思いつつも、
たっぷりと深く眠ってしまったようだ。
今日のホテル出発時間は14時。
その時間に現場に行っても早すぎるのだが
チェックアウトの都合で仕方がない。
また、周りには時間を潰すだけの施設も無く
どうせなら現場に行った方がいいだろうという判断だ。

17:00
今日の俺のメイン仕事であるエキストラが集まってきた。
約200人の静岡県民エキストラだ。
やっぱりどこか雰囲気が違う。

俺も今まで様々な地方でエキストラに会い
芝居をつけてきたが
やはり、全ての地方で人間の違いというか
雰囲気の違いを感じてきた。
今日の静岡県民は、落ち着いた感じだ。
一発では暖まらない。
少し、段階をおいて暖めないとならないようだ。

「みなさーん、こんにちわー!」

「こんにちわ」

「あれ?全然元気がないですよぉ!
僕よりも大きな声を出さないと駄目ですよぉ!
はい、じゃ、もう一回!こんにちわー!」

「こんにちわーぁ」

”うーん、もう少しだなぁ”

まあ、いきなり大声出せと言って
すぐに出せるものでもないだろう
いつもの段階より、細かくやっていこう。

ステップアップ作戦で!

まあ、僕も色々な作戦を持っているので
最悪30分あればなんとかなる。
今日の感じだと15分か20分くらいだと予想する。

が、すぐに技術部から準備がいいから
エキストラの動きを見せろと発注が来る。
だが、俺はその指示を聞こえているが
聞こえないフリをすることで返す。

出来ているとは口が裂けても言えないが
練習中の動きで準備をしてもらって構わないという意味だ。

どうせ、返事なんかしなくても
準備するのだろうし。
よく知っている技師さんだから
俺のやり方も知ってるしね。

結局、照明部の準備する中並行して
エキストラを暖めていく。
都合よく、お互いに良いところで
”本番”となる。

「さー、みなさん!元気出していきましょう!」

「皆さんがうまいと、もれなく、早く帰れます!」

「僕らも、都合、早く東京に帰れるんです!よろしく!」

21時30分
予定より30分早く、エキストラのカットは終わった。
つまり、30分早く東京に帰える予定だ。

「はい、じゃ、次のカット行くよ~!」

夜の空は晴れ渡っている。
明日もきっと晴れるだろう。

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