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新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

本家・カチンコ日記 第371回~第380回

本家・カチンコ日記第301回~第400回

先日惜しまれつつ閉鎖してしまった。

演劇ブック主催サイト

アータウン内の映像サイト『モータウン』にて連載されていた日記

「長谷巌一郎のカチンコ日記=本家カチンコ日記」を転載しています。

各日記には楽しい写真が載っていましたが

サーバー容量の関係上割愛させていただきました。

では、どーぞ!

第371回

罠 その3(15)

2004年3月21日

040329 素敵CM「J」の準備が大詰めに近づいている。

ロケハンもあらかた終了したし

俺は仮香盤を完成させている。

ここからの踏ん張りが撮影当日をどんなものにするかが見えてくる。

そして、今日は2回目のロケハンだ。

先日で場所は決定したのだが見ていないスタッフのためにもう一度行く。

監督もカメラマンもいないので前回決まったことを漏らさず伝えないとならない。

ま、よくあるんだよね。

当日に「聞いてないよ!」なーんてことが。

はっきり言って今回そんなことがあれば船は転覆する恐れがある。

それだけ時間がない。

普段香盤を作る時は読みの時間より多く配分し、

空白の持ち時間を作るようにしているのだが

今回は読みよりも短い

つまりそういうこと。

まあ、この「読み」つーのもなかなか難しくて

何度も一緒に仕事をしているスタッフでも

やっぱり作品によって使う技が違ったりするから

完璧に読むことはできない。

僕の数少ない経験と、

ねじが一本足りない知恵を駆使して作りだす香盤はよく「読み」がはずれる。

良い方向にハズレてほしい。

あー

抜群に良い天気だ!

撮影日もこんな天気でよろしく!

気象予報士の資格でもとろうか?の「罠」

第372回

罠 その3(16)

2004年3月31日

疲れる一日だった。

今日だけで打ち合わせが4件。

全部昨日の連絡で…

10時 VP打ち合わせ

「4月空いてません」

と言って

「お前こないだ暇だって言ったじゃねーか!」

と怒られる。

14時 CM打ち合わせ

「エキストラ150人を長谷さん一人で仕切って下さい!」

と懇願されるも

「いや無理だから、一人貸して」

と逆懇願。

17時 PV打ち合わせ

「求めてるのはチーフ助監督じゃなくてファーストADだから」

とアメリカスタイルを要望され

「見本となった先輩がいないので自己流でしか対応できませんよ」

と言いながらとてつもなく不安になる。

19時 ある監督と打ち合わせ。

「企画からプロデュース、演出まで一環した仕事をやってみないか?」

「やらしてください!」

「うん。まだ動くかどうかわからないが受けてくれるんだな?」

「やります。僕の経験では やれる と断言できませんが…やれます!」

と自分を追い込んだ

「で、5月、6月は暇?」

「ヒ・マ・で・すっ!」

お父さんはがんばります。

▼失敗は成功の元?

いや次の仕事が来ないだけだよ の「罠」「罠」「罠」

第373回

罠 その3(17)

2004年4月2日

千葉にいます。

明日明後日のCM撮影の準備。

陽気はぽかぽかとしていて過ごしやすい。

とはいえしんどい撮影になりそうなので

急遽O氏を呼ぶことに。

資料をFAXしようと制作部にお願いしたが

ふと、待てよと思いO氏に電話。

「O氏ってFAXあったよね~」

「いや、ない。ごめん」

「え え え ~!」

制作部にも

「え?ないんですか?ははははは!」

と笑われた。

FAXは必需品でっせ~

頼むよ~

僕も昔はFAXもパソコンも自宅電話すらなかったっけ…

あ、ポケベルって今存在してるの?

▼楽を覚えるともう戻れない「罠」

第374回

罠 その3(18)

2004年4月4日

顔が痛い。

昨日の撮影は素晴らしい快晴だったので

春とはいえ日差しが強くて

かなり日に焼けてしまった。

おでこが痛くてシワがよる度に激痛が走る。

日焼け止めとか塗らないとダメだなぁ。

さて、今日は昨日と真逆に雨が降っている

よって撮影は中止で明日に延期。

じゃあ休みか?というと、

そーいう訳じゃなくてJのフィッティングへ向かう。

あー、顔が痛い

実はもう間もなく撮影なんだが

一箇所ロケ地が決まってない。

残された時間はあとわずか。

確か前回もロケ地捜しに難航し

撮影の3日前の深夜に決定という

危ない橋を渡った経験がある。

今回はそうならないようにと

前回より1ヶ月も前にロケハンをスタートさせた。

だがしかし手強い。

今日で決定は出るのか?

フィッティングを終え打ち合わせもした。

今回もハッピーな感じがする。

早く撮影したい。

さてロケ地だが未定保留のまま。

結論は月曜日。

ひっくり返ったらどーしよー

きっと誰かがどーにかしてくれる…え?俺?

ああー、顔が痛い。

 * * *

もうすぐ誕生日です

世が戦国ならば人生50年。

後19年しかない。

時間一杯待った無し!

タイムリミット!

急ごう!

マキで人生を走りきろう!

▼人生「罠」だらけ

第375回

罠 その3(19)

2004年4月5日

快晴だ!

昨日の雨はどこに行ったかと言うほどに晴れた!

現場も制作部が徹夜で雨避けと水の吸い出しをしたおかげでベストな状態だ!

少し肌寒いが大きい声出せば暖かくなるってもんだ!

よーし!エキストラ諸君!

盛り上がっていこーぜ!

「みんなー!寒いかーい?」

「…うぅえーい」

「なんだなんだ!元気ねーぞ!寒くなんかないよねー!」

「はーい!」

「いいねー!良い返事だ!気分は25度だ!いくぞ!せー、のっ!」「わー!!」

日焼け止め塗るの忘れた…

痛、痛、痛たたた、

「よーし!後200回はやるからねー!」

「はははは!」

「あれ?笑ってるけど本当だよ」

「……。」

「なにシーンとなってんだ!いくぞ!」

「お、おおー」

「ダメダメ!いくぞ!」

「おおー!」

「よっしゃ!せー、のっ!」

「わー!」

やっぱアレだね。

100人とか200人とかを仕切っていると気分がいいね。

なんかアドレナリンが出ちゃう。

「よーし!じゃあ後199回!」

「え!」

「あれ嘘だとでも思ったのかな?」

あーすごい楽しい!

 * * *

4月6日

精算。

明日からすぐにJが始まるので早急に精算する。

が!

大変なことに!

なんとCMでは比較的珍しい再撮が決まったのだ!

何故再撮が珍しいか?

全てのカットは広告代理店かクライアントさんが立ち会って

確認をしながら撮影しているので撮影してからやっはダメが少ないから

また、演出意図や撮影する予定のカットも事前にコンテや資料で提示しているので

何を撮影するかが明確になっているから。

つーわけで再撮はCMではあまり起こらないのだ。

しかし、様々な状況からこういうことも起こりうる。

編集後に写ってはいけないものが発見されたとか気に入らないとか。

フィルムに傷があったとか。

しかし、大体は本編集でデジタル処理をすることで

存在していた物を消したり書いたりして事なきをえるのだが

今回はどーにもこーにもならないという判断がでた。

またエキストラが必要になったのだ。

そして、もちろん俺の出番だ。

「やったるでー!」

Jの打ち合わせを夕方にずらし

その後に入っていたPVの打ち合わせもなんとか都合した。

こーいう時に助け合わないとね。

しかし、エキストラの人数が減らされたので残念ながらO氏は参加できない…

ごめんよO氏…

7日はあなたの誕生日なのにねぇ~

サンジュウ ウン 才の…

まあ、がんばって行こうよお互い。

エキストラにかわいい娘がいたら話しておくからさ。

最高にかっこよくて素晴らしい仕事をする助監督がいるんだけど

会ってみない?ってね

ははははは!

冗談だけど。

そんな話しする暇ないし。

面倒だし。

あ、もうすぐ俺も誕生日だ。

嫌だなぁ…

プレゼントは大歓迎だけどね。

子供が大きくなる前に”助”を取りたい!

▼現実と言う名の「罠」

第376回

罠 その3(20)

2004年4月8日

昨日はどっぷりと疲れました。

撮影やってJ打ち合わせやって

PV打ち合わせをやって…

帰宅は6時30分でした。

今日は夜からJ打ち合わせなので夕方に子供を

ベビーカーで散歩させて風呂に入れる。

いつか、

「おやじぃ~、金、金くれよ。カノジョ↓と遊びに行くからよ」

とくわえ煙草で言うんだ。

そんなこと考えてたら子供が風呂で暴れ出して顔面がお湯につかってしまった。

「ウンギャー!」

「あああ!ごめんごめん!

つーか、お前が暴れるからだぞ!親の言うことは聞くもんだ!」

「うわーん!」

つーわけで今からJ打ち合わせだ。

いよいよ撮影も近い。

今回もきっと素敵なものになるでしょう

話しがぶつぶつと飛ぶが

今準備しているPVもかなり出来上がりが楽しみだ。

情報が解禁されたら具体的に話すがね。

すごいことになりそうよ。

▼仕事が増えたら体力が減る「罠」

第377回

罠 その3(21)

2004年4月28日

J打ち合わせが終わった。

テトリスのような状況である。

現状はもうラストスパートで

後何時間かで撮影となる。

僕らはブロックを隙間無く積み上げ

長棒がきたら4列消しなはずだ。

長棒が来ないことには今回の香盤は破綻する。

それくらいに破天荒な香盤を組んだ。

「来い!長棒!」

例えるなら拾ったコイン3枚で

777を揃えるようなもの。

しかし、可能性は0じゃない。

あの怒涛の北千住ものを撮影したスタッフだ。

やれないことなんてないはずだ。!

来る!長棒は来る!

朝一発目から来る!

777はリーチがかかっている!

来ないなら強引に長棒を出させてやる。

裏に回って長棒作ってこい!

待つのが仕事じゃない。

作り出すのが仕事なんだ。

夜中にTVの取材電話が鳴ったって負けないぞ!

▼「罠」はそこかしこにある

第378回

罠 その3(22)

2004年3月9日

嵐の前の静けさ。

明日は嵐になる。

天気じゃなくて現場がね。

今日の夜から臨戦態勢を敷くので

先に子供と散歩して

風呂に入れて

身支度を整えた。

昨日と行動は同じだが

どこか心はうわの空というか

ドキドキしている。

こんな仕事はあまりない。

背負っている責任もそうだが

この仕事への思いもあるし

俳優部やスタッフ全員に対しての感情もある。

明日は嵐になる。

僕は結局は口ばっかりで何もしないから

がんばって皆!

 * * *

子供をベビーカーで連れて行くことで

初めて気が付いたというか

見ないで通り過ぎてきたことにいくつか気づいた。

僕らの生活している環境には

ものすごい数の段差がある。

大きい段差から小さい段差まで。

普段歩くだけだと全く気にならない段差もあるけど

ベビーカーで移動していると

その全ての段差が振動で手に伝わるのでよく判る。

歩道は歩く道であって、自転車の止め場所じゃない。

人一人が通れれば問題がないように

感じることも多かったが、

ベビーカーは人間みたいにすり抜けることができない。

あと、歩道に車を止めたら歩けない。

車の窓から捨てられたタバコの灰の行く先が

とっても気になる。

結局、自分が当事者になって初めてわかることが多く

近所への散歩でも充分な発見があった。

どれだけのことを自分で正し止められるかわからないから

人に『止めろ』とは言わないけど、

せっかく気が付いたことだから

止める努力はしてみるつもりだ。

仕事をしていても発見や驚きが常にある。

もしそれに気が付かなくなったら

止めたくなるだろうとも思う。

いっつも発見があって、驚いて、楽しくて

素敵でハッピーの嵐な現場。

明日は嵐になる。

▼どんな嵐が待っているか?な「罠」

第379回

罠 その3(23)

2004年4月10日

0600am

路上現場。

ギリギリまで決まらなかったロケ地だ。

俳優部が来る前にレールを敷き移動撮影に備える。

「すいません!環八が渋滞で車両が遅れてます!」

「なにー!」

全く余裕のない時間割の中での10分は痛い。

長棒は来ないのか?

0800am

ロケセット1

ストーリー順と撮影順が全く違うため芝居のリハーサルをする。

見ていると撮影したくなる。

しかし、もう移動しないとならない。

現時点で1時間押しです。

0930am

ロケセット2

空は抜けるように蒼い

温かな日差しが朝の冷気を追い出していた。

「長谷くん!ハイライダーやれそうだから、先にやりたいんだけど」

「まじですか!やりましょう!」

ハイライダーとは電気工事などで使う高所作業車である。

もちろん高いところから撮影したい時に使う。

だがクレーンのようにスムーズな動きは出来ないためFIXで使うことが多い。

そして、ハイライダーを先にやるということはどういうことかと言うと、

一番面倒な手間のかかる撮影が一番早く終わるということだ。

算数で時間を考えれば準備準備と撮影時間を足していけば単純な香盤はできる。

つまりどんな順番で撮影しても答えは変わらない。

でも算数じゃない。

スタッフという一癖どころか癖の塊みたいな連中は計算が役に立たない。

それを数字にするのは難しいがしないとならない…

「ライダーからやればマケる!ライダーアップしてぇ!」

1200pm

昼食

連日の外ロケで僕は真っ黒に日焼けしてしまった。

パンダ顔なんでみんなに大丈夫ですか?なんて言われる

0130pm

ロケセット1

ロスタイムを1時間得た。

「くるか!長棒!」

ロケセット1は狭い

効率よく撮影し尚且つ窓抜けの太陽が沈む前に終えないとならない。

ロスタイムをどう使うか?

窓抜けの太陽が15時~17時がベストだと言われる。

どーする?キリがいいとこで狙うか?

時間で切って狙うか?

しかし、どちらにしても芝居はぶつ切りになってしまう。

辛い。

「すんません!3カット残して切り返えします!」

バッタバッタと切り返えしまくり

窓抜けに太陽がある内に撮影はできたがロスタイムは使い切ってしまった。

「ちくしょう~、しゃあね~飯だ飯!」

「飯食って地固まるだ」

0930pm

ロケセット3へ移動

本日最後の移動。

ラスト2カット。

「急がねーと、てっぺんまわっちまうぞ!」

しかし、どうあがいても23時30分は確定だな。

でも香盤上は26時30分だったから上出来というべきか…

う~ん、ちょっと納得いかない。

1130pm

撮影終了。

辛くも読み通りに。

しかし、疲労した照明部を見ると心苦しい。

だが、俳優部のお二人にはまた素敵な芝居を見させていただいた。

長い時間おつかっしたーっ!

いつまでもこのシリーズが続くといいなぁ…

※わざわざJ撮影のために別会社から来てくれたS君。

ありがとう。

少しの間で頼もしくなった、心強かったです。

▼そしてまた次の現場への罠

▼最近シーバーの電波で頭が痛くなる罠

第380回

罠 その3(24)

2004年4月11日

JラジオCM録り。

声だけっていいよね

感情とか思いとか息遣いとか

見えないとこがよく見える・わかるって感じがする。

こっちも素敵だから聞き逃しのないよう。

 * * *

2004年4月12日

Jテレシネ。

現像されたフィルムの色味を丁寧に調整する。

大塚・岸本マジックが炸裂する。

撮影現場で同じものを見ていても

肉眼とカメラのレンズを通した映像とではやはり違う

大塚・岸本コンビの作る映像はいつも うわっ!

とさせられるので今日もかなり期待している。

そして、今日はそれだけじゃない。

実は大変なミステイクをしたのでその確認もしたいのだ。

どんなミス?

言いたくないが、

いわゆる”ご出演”ってやつだ。

”見切れた”とも言うが…

不覚にもレンズサイズの想像を誤った。

画面の端に俺が写ってしまっている。

動かなければ解らなかったらしいが

”動いた”のだ。

バカ、バカ、俺のバカ!

大体撮影スタッフというのは夏でも黒い恰好をしている。

それはこういう”不祥事”が起きた際に黒いとわかりずらいからだ。

ちょっとショック過ぎて立ち直れない。

普段から偉そうにしている以上、

完璧に近い仕事をしないとならない

。 ”ご出演”なんて許されるはずがない。

本当に申し訳ない。

どうかテレシネで判らないとなりますように!

 * * *

写ってる…

豆粒のように小さいが確かに俺が顔出している…

ああああああ

拡大されて確認までされたぁぁぁ

消えてしまいたい…

▼このミスは一生言われるかもなぁ…の罠