読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

本家・カチンコ日記 第61回~第70回

先日惜しまれつつ閉鎖してしまった。 演劇ブック主催サイト アータウン内の映像サイト『モータウン』にて連載されていた日記 「長谷巌一郎のカチンコ日記=本家カチンコ日記」を転載しています。 各日記には楽しい写真が載っていましたが サーバー容量の関係上割愛させていただきました。

では、どーぞ!

第61回
福者(6)
2002年09月30日

明日の撮影の為、スタジオの建て込みへ
入った途端シンナーの匂いで頭が痛くなる

でも僕はシンナーの匂いって案外好きなんだよなあ。
結構変わった匂いが好きな人っているよね。
排ガスとかガソリンとか足の臭いとかさ。
あれってなんでだろうね?
僕はなんとなく理由がわかるんです。
僕の祖父が内装業をやっててね、
よく遊びにいったんですね。
内装ってのは壁紙とか絨毯とかをまあ切ったり貼ったりするんだけど
殆ど全ての作業に接着材が使われているですね。
んで子供の頃からその匂いを嗅いでいたからなんかね、
好きなんです。

あ、全く関係無い話…

えーと、
とどのつまり、頭痛いけど好き。って話し。
この仕事と似てますな。

辛くて大変だけど好き。ってとこが。

第62回
福者(7)
2002年09月30日

この仕事で避けては通れない問題…
「ギャラ交渉」

専門学校を卒業してすぐ、
フリーで仕事を始めた俺は常にこの問題が悩みのタネだ
デビュー当初は相手から金額提示があった

「おまえ、これな(小さなメモ書きに数字)」

最近は

「長谷さんはおいくらぐらいっすか?」

と聞かれることが多くなってきた。随分な成長だ。

しかし自分の金額を決めるのが物凄く悩む。
自分の仕事の値段…う~んわからない。
試しに100万とか言ってみるか?

二度と仕事こねーな…

まあ自分を客観的に見なければならんと言うことだろうが…
なかなかねぇ。

でも2年くらい前からなんとなく金額を決めてはいるのだが、
これがまた難しい。
こちらの思惑とあちらの思惑などがよく食い違うからだ。
日本人の特性なのか、
この手の話しはすぐには切り出されない。
始まる前に話すことは非常に稀で一番多いタイミングは
仕事が終わった日の片付け中。
バタバタとしてる中、
帰るに帰れない俺と
そんなことは全く忘れてバラシに集中する制作部。
後日電話で話すのも手なのだが、
やはりこういう話しは対面で行いたい。

「値切るなら俺の顔を見て値切れ」

が本音である。
俺を゛?゛と見る制作部、
切り出し方を思案しながらぶらつく俺。
よくそんな光景が撮影終了後に見ることができる。

さて、今回は電話での交渉だった。
相手の顔が見えないから駆け引きが難しい。
相手からすぐに提示パターンか、

「どうしますかねぇ」

という出方伺いパターンか…今回は提示パターンだ。
この時、向こうも上手なもので

「申し訳ないんですが…」

と限界アピールか、

「○○でどうすかねぇ?」

とこれならトントンでしょう確認パターンなどといくつかに別れる。
一番対応に困るのが限界アピール。
それは交渉の余地を与えられないから。
しかも一番多い。
案の定「限界アピールパターン」だ。
くうぅぅ。よーし!

「僕も家族いるんで…」

こっちだって、゛限界っす!やばいんですけどパターン゛で応戦だ!
でも次の仕事を頂くことで納得することが殆どなんすけどね。

第63回
福者(8)
2002年10月01日

12時00分
今日東京は夜から台風の直撃を受けるらしい。
そんな中スタジオでの撮影は着々と進む…
帰られるのかなぁ…
あ、まだ晴れてるじゃん!
つうかまだ夜じゃないか…

20時30分
30分マキで撮影終了!(飯押し)

うわっ!すげー雨

第64回
福者(9)
2002年10月03日

素敵な制作部・Iさんのお勧めの蕎麦屋で連日のように蕎麦を喰う

そう!あの素敵なCMの準備に動いている。
またあの二人と仕事ができるかと思うと、
プレロケハンにも力がはいるというもんだ。

「これだ!ここしかない!」

という場所を求め今日もさまよう…

台風が過ぎ、素敵に晴れた空の下をさまよう
そしてまた蕎麦を喰う。
3枚、4枚…う、うまい。うまいよ!素敵だよ!Iさん!

第65回
福者(10)
2002年10月07日

眠い、狂おしい程に眠い…

ここ数日のロケハン資料を村本さんに見て貰う。
が、反応がイマイチ。制作部一同不安に襲わられる。
最終的には現場を見てからの結論なのだが

「ふーん」

のような反応は要警戒だ
ひっくり返る可能性がある。
なので明日もう一度都内ロケハンを敢行することに。

まあ、それとは関係無く眠い。

毎日ロケハンで行動を共にしている市さんだが、
先日あることがお互いに判明した。
それは会話の9割が食い物の話しということである。
驚くべきことに仕事の話しは殆どしていないのである。
仕事をしてない訳ではない、しながらなのである。

朝会うとまず

「昼は何食べます?」

昼食後は

「まだ喰えますよね」
「そばならつるっと入りますね」
「夜はそばっすか」
「いや.5(てんご)飯に」
「いいっすね!」

な感じだ。
夕食中だって食い物の話し満載。
あー
同じ制作の橋本くんは我々二人をどう見てるのだろう…

食い物の話しばかりしている髭面のおっさん二人組を見掛けたら、
それは多分僕とIさんです。

『食べ物を与えないでください』

第66回
カチンコ魂(1)
2002年10月10日

"一発で決めたかった"

今日はメインスタッフロケハン。
都内及び近郊をぐるぐると移動する。
そして全ての撮影場所を決めたかった…

が、しかし、一番重要な場所が決まらない

"うううぅぅぅ…"

もう撮影までに残された日にちは僅かしかない。
捜せ 捜せ 捜せ

第67回
カチンコ魂(2)
10月11日

追加ロケハン1
10:00am(六本木)
昨日決まらなかったロケ地を捜しに出発
なかなかな場所発見

10月12日
追加ロケハン2
08:30am(新宿)
”もっと良い所を!”
捜しに出発

04:40pm(相模原)
やべーもう夕方じゃん!
あー

06:30pm(都内某所)
美術打ち合わせ
同時にロケハン資料の確認

また駄目だった…

くぅ…

第68回
カチンコ魂(3)
2002年10月14日

メインロケハンを明日に控え、
市さんとぐーるぐーるぐーると都内をロケハンする。
どうにか決まって欲しい。
こちらも

「どや!」

という場所を捜してきた(はず)

ロケハンの難しいところがいくつかある
まず演出家の希望/好み/設定に合うとこ
そして、撮影がやり易い/許可が下りるとこ
これがまた、なかなか両立しないんだなぁ。
大体において、
素敵な場所は撮影がやり辛いことが多い

そんなことを踏まえつつ映画やTV、
CMを見ると面白いです。

あー!今日も疲れた!

第69回
カチンコ魂(4)
2002年10月15日

今日は2回目のメインスタッフロケハン。
ここ数日 都内を駆けずり回った結果を監督やカメラマンに
見て貰う日だ。
見せる場所は5箇所。

一つ目。「坂っぽくない」→NG
二つ目。「綺麗すぎる」→NG
三つ目。「高速道路が嫌な見え方だ」→NG
四つ目。「工事の音がうるさい」→NG

ロケハンの見せ方としていくつか方法がある。
ランダムに道順優先で見る方法。
んで、一番手にすげーのを見せてOKをもらい、
残りは「実はここ以下です」と言って時間短縮する方法。
もう一つは、最後に「おお!」という場所を持ってくる方法。

今回はランダムな方法だった。
僕のお勧めもIさんのお勧めもとっくにNGだ。
つまり五つ目もNG

「魅かれるものがない」

だそうです。

「おー まい がっ」

第70回
カチンコ魂(5)
2002年10月17日

撮影を目前に控え最後の準備に入る。

あー早く撮影したい!

でも、今は眠い。
4:00amだし。
表の工事音がうるさくて寝られやしない

文句言いにいっちゃおうかなぁ…

※これは後日談ですが、
 僕はこの日記を書いた後実際に工事を止めに行きました。
 なかなか止まりません。

 なのでキレました。

 5分で静かになりました。